アメリカで、銃乱射事件のニュースは日常茶飯事となっている。オバマ大統領は「我々は銃乱射にマヒしている」と言ったが、誇張表現ではない。Mass Shooting Tracker(多数銃乱射事件の追跡者?)というウェブサイトが必要なくらいひどい状態になっている。
このMass Shooting Trackerというサイトは、死傷者が4人以上いる銃乱射事件を “mass shooting”(多数銃乱射事件)と定義し、それぞれの銃乱射事件についての情報を提供している。では、how bad is it? まずは、2015年の事件に注目してみよう。
Mass Shooting Trackerのデータを基にして作った図表をご覧ください。
2015年1月~9月の間にアメリカで起きた多数銃乱射事件(mass shooting)の数を正確に記すと、1月=24件、2月=18件、3月=30件、4月=18件、5月=39件、6月=41件、7月=44件、8月=41件、9月=38件、全部で293件となった。
覚えなければならないことは、これは死傷者が4人以上の事件である。死傷者が3人以下の事件を入れたら、何百倍の事件数になるだろう。
今度は、多数銃乱射事件(mass shooting)の死傷者数を見てみよう。
2015年1月~9月の間にアメリカで起きた多数銃乱射事件(mass shooting)の死傷者数は以下の通りであった。
- 1月 死者 40人、傷者 79人、死傷者 119人
- 2月 死者 44人、傷者 47人、死傷者 91人
- 3月 死者 31人、傷者 113人、死傷者 144人
- 4月 死者 17人、傷者 68人、死傷者 85人
- 5月 死者 46人、傷者 154人、死傷者 200人
- 6月 死者 46人、傷者 158人、死傷者 204人
- 7月 死者 49人、傷者 169人、死傷者 218人
- 8月 死者 48人、傷者 160人、死傷者 208人
- 9月 死者 44人、傷者 134人、死傷者 178人
- 1月〜9月 死者 379人、傷者 1,094人、死傷者 1,473人
数字だけではピンとこないかも知れないので、もう一つの図を見て欲しい。
上では2015年に注目してみたが、英国のガーディアン紙もMass Shooting Trackerのデータを使って、1,004日の間に渡って、10月2日までに起きてしまった994の多数銃乱射事件をビジュアルな形にしてくれた。想像を絶する事態になっている。
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米南部にある私の田舎では、「銃規制」を言うだけでアレルギー反応が起こり、理性的な話ができなくなる人が非常に多い。もちろん、私の田舎だけではない。アメリカ全国の問題である。
多数銃乱射事件がほぼ毎日続く中で、“Guns don’t kill people. People kill people.”(銃は人を殺さない。人が人を殺すのだ。)のような決まり文句を言い続け、銃暴力の流行病に直面しない私の同胞は正に銃乱射にマヒしていると思う。そのマヒ状態から覚醒するまでに、銃の暴力によって、どれほどの命が奪われてしまうのだろうか。
我が国が独立し成立した数百年前は、一般市民は銃を持って、アメリカ独立宣言が掲げている「生命、自由及び幸福追求の権利」を「暴君たち」から勝ち取り、しばらくそれを守り続けたかも知れない。しかし、その時代はとっくに昔に終わっている。今のアメリカでは、外国の方々を含めて、アメリカに住み、アメリカに訪れるすべての人の幸福追求権が銃暴力によって脅かされている。
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