我々の日常生活のあらゆる領域や言動において、
「男女不平等」「女性軽視」があまりにも根付いる。
確かに、今は堂々とした偏見的な発言は批判されるだろう。
公然の女性差別は怒りの対象となるだろう。なので、
昔と比べたら、意識的な性差別は少なくなっているだろう。
しかし、意識されないところの性差別は決してなくなってはいない。
意識されないからこそ、一種の男尊女卑的な思考や言動でも、
「差別じゃない」「普通だ」「文化だ」「自然だ」「神の御心だ」
と思われてしまい、その醜い根っこまで見抜かれないまま、
次の世代へと継承されていく。
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男女不平等、女性軽視、現代風の男尊女卑が継承される媒体はさまざまだが、一つだけ紹介しておこう。とても身近なところに見られる。そして、測ることのできるデータにも見られる。
ハリウッド映画のことを言っている。
好きな映画を考えてみてください。では、その映画の会話部だけを考えてみてください。どれぐらいの割合が男性によるセリフなのか。どれぐらいの割合が女性によるセリフなのか。おそらく、男性のセリフが圧倒的に多いだろう。
それだけのことではない。女性が話している多くの場合は、相手が男性であるか、女性同士の話であっても男性についての話になっているか、ということが非常に多いそうだ。逆に言えば、男性と関わらない女性同士のセリフは比較的少ない。それに比べて、男性同士の多くの会話は、自分の仕事等についての話で、女性と無関係な話が多い。すなわち、女性がいなくても多くの男性キャラクターのセリフはそのまま成り立つが、男性がいなければ成り立たない女性キャラクターが多い。
主人公のことも考えてみてください。男性の主人公が圧倒的に多い。
そして、もう一つ。出演者の年齢を考えてみてください。男性俳優が年をとればとるほど、65歳くらいまでは出演する機会が与えられているのに対して、女優が年を重ねるに連れて、出演する機会がどんどん減っていく。
男性と女性のセリフの割合を見ても、男性と女性の主人公の割合を見ても、出演者の年齢を見ても、性別によって大きな差がある。その「差」の意味について議論する必要はあると思うが、それを否定することはできない。間違いなく、多くのハリウッド映画は何らかのジェンダー差別的な価値観を反映している。そして、そうであるならば、ハリウッドが作ってきた多くの映画は、幼子からお年寄りまで、我々の潜在的偏見を強化しているはずだ。
ここまでの話は抽象的な話ばかりなので、是非、ご自分でそのデータをご覧ください。
ディズニー映画を始め、アクション映画、コメディー映画、ホラー映画等、2000ほどの脚本(セリフ)が分析されている Film Dialogue: From 2,000 Screenplays, Broken Down by Gender and Age という記事である。
Film Dialogue: From 2,000 Screenplays, Broken Down by Gender and Age
ビジュアルで分かりやすい形で提示されているので、このサイトを開き、そのデータ分析を見ていただきたい。多少のアニメーション効果があるので、可能であれば、パソコンで最新のブラウザで見ることをお勧めする。
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